公開: 2020年5月9日
更新: 2020年5月9日
私たち人間は、古代文明が始まってから、あるやり方が見つかると、そのやり方をもっと良くした方法を見つけ出し、その新しいやり方を広めることで、より高度な社会を作り出すようになりました。このことを数千年に渡って繰り返してきた人類は、今、地球上で最も繁栄できた動物の種類になっています。
18世紀に、イギリスで進化論が発表されてから、このやり方が、人類の「知」を拡大する「科学」の分野にも当てはめられることが分かり、19世紀のアメリカで、「プラグマティズム」という思想が生まれました。これは、人間はものごとについて、「いつも本当のことを理解できるとは限らない」という考え方に立って、それでも「本当のことを知るためには、どうしたらよいのか」について考えた思想です。
プラグマティズムの考え方では、「本当のことを分かっているわけではない」ことを前提にして、今の時点で「最も正しそうな考え方」を「今の知識」として認めます。そして、その「今の知識」に何か問題が見つかった場合には、その問題を解決できる新しい考え方を見つけ出して、それを「新しい知識」として認めるべきであるとする考え方です。このやり方を続けて行けば、人間はいつかは「本当のこと」を知ることができるかもしれないからです。
このプラグマティズムの方法をしっかりとやってゆくためには、これまでの考え方を調べ、その考え方に隠れている問題を明らかにして、その問題を解決できるやり方を考え出すという方法を、しっかりと繰り返すことが大切です。現代の科学は、ほぼこの方法に基づいて研究が進められています。